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DV(ドメスティック・バイオレンス)

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DVの構図

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夫婦問題の相談を受けるなか、夫と妻の間で起こる暴力(DV=ドメスティック・バイオレンス)を多く耳にする。夫から妻への暴力ばかりがクローズアップされるが、相談の現場では、妻から夫への暴力が行われているケースも見ている。

東京家族ラボでは年間約950件の面接相談を行う。1998年には夫から妻への暴力相談が95件、妻から夫へは43件だったものが、2003年には、夫の暴力105件、妻の暴力73件と、夫婦間暴力の相談自体も増加している。相談増加の背背景には、「DV防止法(配偶者からの暴力の防止および配偶者の保護に関する法律)」が2001年に施行されたこともある。以前には、家庭の中で夫が暴力をふるっているなどと外に伝えるのは恥ずかしいことだとの日本的な「恥の文化」に隠されていたものが、新法によって、夫婦間の暴力は犯罪であるとの意識が高まり、伝えることのハードルは低くなった。

本来、安全な場であるはずの家庭内でなぜDVが起こるのか。そもそもDVとはなにか。

DVの構造を、「パワーとコントロールの車輪」と呼ばれる暴力加害者(バタラー)と、暴力被害者(バタード)の関係性において起こる現象面と、バタラーの内面である「DVのシステム」に分けて説明を行う。
DV(ドメスティック・バイオレンス)を日本語に直訳すれば家庭内の暴力だが、日本で「家庭内暴力」といえば、子から親への暴力という世界にも稀で特殊な状況を指すため、DVは「パートナー間の暴力」ととらえる。夫婦(もと夫婦)、恋人(もと恋人)といった親密な関係の中でおこなわれる暴力である。

「パワーとコントロールの車輪」が意味するのは、バタラーの力(パワー)によって、相手への支配とコントロールが、まるで車輪が回り続けるように繰り返されることだ。

DVは、殴る蹴るといった身体的なものだけでなく、精神的、経済的、性的、あるいは社会的暴力などが、ひとつずつではなく複合的に順序を入れ替えながら繰り返され、その合間に起こる身体的暴力のエスカレートによって傷害・殺人といった事件となる場合すらあるものだ。次に、各暴力の特徴的なものを挙げておく。


精神的暴力

言葉による侮辱で自信を失わさせ、実家の親兄弟を貶めることで孤立させ自信を失わさせて、それまでの人生を否定させ、無力感を抱かせる。
「ブス」「ぐず」「安月給」といった侮辱の言葉が多用され、「教育しなおしてやる」との名目で長時間の説教や陰険な発言、つばを吐くなどの行動もある。外出先から自宅へ電話をかけてたえず居場所を確かめ、不在であれば、帰宅後、大声で怒鳴り、殴る真似で威嚇し、身体的暴力へ繋がることもある。激怒すると、夫はふだんとは異なる汚い言葉づかいをし、妻は男言葉を使う。また、子どもに対して「お父さんは臭い」「お母さんはバカだから言うことをきくな」などと発言し、子どもを利用した精神的暴力を行う。


性的暴力

セックスの強要や拒否、浮気を公然と認めさせることなどがあり、そこにジェンダーとセクシャリティ両方における性の特権を振りかざす。 一方的な性の奉仕や、「浮気をしたのはおまえがつまらないから」と自己を正当化し、自信の性的能力を自慢する。セックスの内容や時間を細かく規定して強要する。万一、相手の浮気が発覚したときには、細部に渡って長年責め続けて罰を与え、許すことはない。


経済的暴力

仕事を禁止したり、逆に収入の増加を強要する。ギャンブル、買い物等の浪費を行い、自身の浪費には寛大だが、家計簿や相手の金遣いを細かくチェックし、意に添わない使途を見つけると激怒する。家計費を領収書精算とする場合もある。家庭内の預金を相手に知られないよう隠すことが多い。生活費を一切渡さなかったり、ごく少額だけで賄わさせ、できなければ無能だとののしる。


社会的暴力

島国であり多民族国家ではない日本だからこそ起こるDV。国籍・宗教・学歴・職業を侮辱することなど差別的な発言がある。また、外出や電話の使用を禁止され、親族や友人から孤立させられることによって、バタードは逃げ場を失う。


身体的暴力

前記のDVが繰り返し行われ、その合間に殴る・蹴る・首を絞めるといった身体的暴力が行われる。暴言を投げかけられ罰を与えられることによって、次には罵られないよう、バタードは、相手の一挙手一投足に全神経を集中させ、より疲弊する。精神的に傷つけた後の暴行によって、バタラーは、より効果的な支配を行う結果となる。


DVのサイクルと呼ばれる暴力の流れは、バタラーの意識の中で起こるが、それを本人が自覚することは困難である。

バタラーの内面にうっ積したものを暴言や暴力といったかたちで爆発させる。その後、一時的にすっきりした気持ちとなる「解放期」では、優しくなり、暴行をはたらいた自らが救急車を呼び、かいがいしく付きそったり、涙を流して暴力を反省し二度と行わないと誓う。バタードは、パートナーが立ち直ってくれることを望み、約束を信じたいために外へ向かって暴力の存在を伝えることをしない。そのため発見が遅れがちとなり、逃げる機会を失うものでもある。他方、バタラーは絶対に暴力をふるわないよう自らを律し、「緊張形成期」の中でストレスを溜める。再度の暴力となるきっかけは、バタラーが作り出す「理由なき暴力」であり、ときには言いがかりでさえある。DVのサイクルは、繰り返される毎に頻度が上がり、暴力の内容はエスカレートしていくものだ。


出典:月刊社会保険9月号掲載『そもそもDVとは何か』



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