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勝手に届けを出されないよう役所に行って「不受理届」を

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小池 制度のことでいえば、養育費も検討してほしい問題のひとつですね。養育費は毎月何万円と、定期金の形で支払う取り決めをします。ところが男の側が再婚した場合、そこで支払いがストップとなるケースがけっこうあるんです。法律上は再婚しようが何しようが、当然支払いの義務があるんですが、現実には新しい家庭ができ、そこで子どもができたりすると生活も大変で、前の家庭の子どもまで面倒を見られないという状況になる。そういった場合、養育費を回収するのはなかなか大変なことなんです。こういうケースに備えて、会社の給料から養育費を天引きする制度が考えられます。また、アメリカ、フランス、スウェーデンなどでは公的機関による養育費立て替え払い制度があります。日本でもぜひ導入を考えてほしいですね。
池内 天引き制度には企業の協力も必要になってきますね。税金と同じように徴収してしまうわけですか。
小池 ええ、源泉徴収と同じように、一方的に天引きしてしまうんです。
池内 まだそういう制度がない日本で、支払いがストップしたときにはどうしたらいいんでしょうか。
小池 弁護士に依頼すれば、サラリーマンなら給料を差し押さえられます。でもその手続きのためにまた費用がかかりますし、実際問題としては泣き寝入りのケースが多いですね。
池内 養育費を払い続けてくれるだけの経済力のある男と結婚しないといけないんですね、本末転倒の感はありますが(笑)。養育費といえば、離婚当時は別れたい一心で養育費の請求をしなかったけれど、しばらくして落ち着いて考えたら、やっぱり子どもが3人もいるし、再請求をしたいという方がいらしたんですが、それは可能ですか。
小池 充分可能です。養育費というのは子どもが20歳になるまで当然支払われなければならない義務があります。離婚の際、何も取り決めをせず支払いが行われていない場合も、途中からでも請求できますから、遠慮なく請求したほうがいいと思います。
池内 子どもが20歳になるまでは、いつでも請求できるわけですね。金額も途中で変えることができますか。
小池 物価の上昇度や学費などに応じて養育費も増額するという形で、金額が変わるのは当然のことです。養育費と違って、慰謝料には3年で時効とされる恐れがあります。財産分与については、家裁への申し立ては離婚後2年以内という規定があります。実際問題として、やはり離婚するときに同時に慰謝料や財産分与についても話をまとめて、お金を現実に確保することが大事です。
池内 2年、3年あとでも話はできなくはないけれども、実際には支払われないと考えたほうがいいわけですね。
小池 先ほど言いましたように、離婚するということが慰謝料なり財産分与なりとセットになっていると考えたほうがいい。離婚がお金の支払いの担保になっているということですね。離婚届を出す、あるいは調停離婚が成立する、その時点で、もう担保はなくなるわけです。だから引き換えにお金をもらわないとダメなんです。
池内 お金を出したなら判を押しますよ、ということですか。
小池 そういうことです。順序が逆だと大変なことになります。判を押したらお金を払うという約束で、先に判を押して届け出されてしまい、後日支払われるはずのお金が支払われなかったとします。この場合、、離婚届が有効かどうか。基本的には有効とされていますから、食い逃げされてしまうことになります。離婚そのものが担保になるわけですから、必ず順番を逆に。というより同時でなければいけませんね。
池内 でも離婚届に押す印というのは別に実印でなくてもいいですし、サインの筆跡鑑定があるわけでもありませんよね。婚姻届と同じように、別々の印であればシャチハタ以外の三文判でもそれは成立するんじゃないですか。話し合いの途中で、勝手に名前を書いて印を押して届けを出されてしまったというケースも実際、耳にしたことがあります。
小池 相手が勝手に届けを出す恐れを感じたら、すぐ役所に行って「離婚不受理届」を出す必要がありますね。これが出してあれば離婚届は文字通り受け付けられません。不受理届は期間が6カ月ですから、6ヶ月ごとに新しい届けを出しておかなければなりませんが。逆に不受理届が出されていなければ三文判でも勝手に届けが出せるというと、もちろん決してそうではないんですよ。両者の合意がない場合は「公正証書原本不実記載罪」という犯罪になります。
池内 万が一、勝手に離婚届を出されてしまった場合はどういうふうに対処したらいいんでしょう
小池 刑事上は告訴。民事上は「離婚の無効確認」の訴えを起こすことになりますね。ただ、勝手に届けを出したのか、あるいは合意していたのか、これを外側から証明するのは難しいんです。2人だけの会話で証人はいないが合意していたと言われたら、わかりませんから。そういう事態を防ぐためにも、不受理届が大切な手続きになってきます。この不受理届は役所が実務上そういう扱いをしているだけで、法律上の規定はないんですけれどね。

出典:別冊宝島372「それぞれの離婚」

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