| 小池
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意地でも別れたくないということでお話ししますと、男性のほうが愛人をつくって一方的に出ていって別居が10年、20年と続いている。その男性の側から別れたいというケースも当然あります。有責配偶者の離婚請求といいますが、これは従来認められていなかったんです。でも最近、7〜8年別居期間がある場合は、有責配偶者である男の側から離婚を申し立てた場合でも、妻にとって過酷でないかとか未熟な子どもがいないかとか、いろいろな条件はあるんですが、離婚を認めようという流れになっています。この7〜8年という期間はこれからもっと短くなっていくだろうと思います。
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| 池内
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離婚を認められる別居期間が7〜8年からさらに短くなって、6年なり5年になっていくだろうと。
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| 小池
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はい。その流れの中で今「5年別居」が民法改正案として出てきています。5年別居すれば、有責配偶者のほうからの離婚も認めるということですね。
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| 池内
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それは裁判までいかなくても、調停のレベルでも認めるということですか。
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| 小池
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法律で改正されるということは、裁判の判決で認められるということになりますから、それを念頭におけば調停でも協議離婚でも非常にスムーズに離婚しやすくなるでしょう。私はそのこと自体はいいことだと思っているんですね。実態のない夫婦関係をいつまでも放置しておくのは不幸なことですから。実態に合わせて離婚を認める、いわゆる「積極的破綻主義」はいいことだし、期間は5年でも長すぎるような気もします。外国では2、3年とか1年という例もあります。
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| 池内
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私は1年でもいいと思いますね。別居といっても現実にはそれほど簡単にできるものではありません。経済的にも精神的にも大変な思いをして、一緒に暮らすことすらできなくなった夫婦を法律だけで縛るのは無意味なことだと思えるんです。
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| 小池
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ただ、5年別居の今の民法改正案でいいかというと私は非常に疑問なんです。というのは、たとえば有責配偶者の男のほうが好き勝手に愛人をつくったとしても、 5年の別居期間があったら完全に離婚が認められるわけですよね。それだけの案であれば、妻にとってものすごく過酷なことになる。もちろん改正案でも「過酷な場合は例外」という規定をいちおうは考えていますが。現在の日本では、まだ結婚が女性にとって生活保障の場としての役割をになっているという側面があることは否定できないんですよ。ですから、そういった生きる権利を一方的に奪うことにならないように、離婚と同時にそれなりのものを支払う、つまり離婚給付とセットでなければ離婚を認めないという法律にすべきだと私は思っています。
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| 池内
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離婚給付を同時に支払えなければ離婚できないという仕組みにするわけですね。ぜひ、小池先生がつくってください!
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| 小池
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今の方のままでも、もちろん離婚を認めたとき、「慰謝料をいくら払いなさい」という判決は出ます。でもその判決だけじゃ、先ほどから言っていますように、絵に描いた餅と同じなんです。慰謝料1000万円と判決が出ただけではお金はもらえない。実際に支払われなければ手続きをとって強制執行をしなければ手に入らないし、そもそも夫に財産がなければ土台無理なことです。だから私は、1000万円の支払いと引き換えに「5年別居」離婚を認める、といった「引き換え給付」にすべきだと主張しているんです。でもこの私の意見は、日弁連の中で民法改正を推進している女性の弁護士たちには受け入れられていません。離婚という身分の問題に、お金をからませるのはおかしいということらしいです。
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| 池内
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でも、女性のほうだって離婚したあとも生活していかなくちゃなりませんからね。それを保証してもらうためにもはっきりさせておいたほうがいいと思います。表面上は夫だけが収入を得ているけれど、女性もバックアップしてきてつくり上げた収入だということもちゃんと認めて保証してあげてほしい。
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| 小池
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ま、今の法律では、変わりつつあるといっても有責配偶者からの離婚はなかなか認められません。であるにもかかわらず、男性がどうしても今同居している女性と再婚したいので離婚したいというときはどうするか、なんとかして妻の同意を得るしかありません。妻の側から言いたいことは、夫は借金してでもお金をつくれということです。とにかく自分の能力以上のお金を用意しないと離婚は認められないんだと。そうすることで初めて、妻の生活がかろうじて確保できる、というようになっているわけですよ。だから、今の法律のほうがまだいいんじゃないかな。
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| 池内
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引き換え給付という制度ができればいいですよね。そうすれば結婚自体に対する危機感も、もう少しみなさん感じるようになるでしょうし。
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